私たちの身の回りにある構造物の多くはボルト等の機械的な締結が使用されている。
ボルトには規定の締め付けトルクの指示があり、これに満たないトルクではゆるみ・脱落の原因になるし、規定トルク以上の締め付けでは構造体に過剰なストレスが加わり破損、あるいはボルト自身が引張荷重により破損するなど注意すべき点が多い。
市場にある構造解析のソフト(CAE)では構造物に加わるストレスや変形量を予測可能であり
ボルトのプリテンション機能を考慮した構造解析も可能である。
今回はその機能を使用した時にどのような解析結果となるのか傾向などをご紹介します。
【解析条件】
今回はシンプルに板材同士をボルト締結した際に板材にどのような変形が起こるのか解析してみた。板材の一方の端面は固定されており、固定の影響が出ない範囲でボルト締結箇所を設定し、
①締結箇所は2本/4本の2条件を設定。
②板材の材質はアルミ材/鋼材の2条件を設定。
③ボルトのプリテンション荷重は500N/1000Nの2条件を設定
評の合計8水準を設定。
変形量はもう一方の端面の変形量にて評価を行った。
【変形モードの確認】
ボルトのプリテンション荷重により板材が変形する様子が確認できました。
【解析結果】
8水準での解析結果を確認すると最も変形量が小さかったのはアルミ材でプリテンション荷重が500N、2箇所での締結でした。締結箇所が多い程変形量が小さくなると予測していたので少し意外な結果でした。また、最も変形量が大きかったのは鋼材でプリテンション荷重が1000N、2箇所での締結でした。材料の剛性(ヤング率)が高い程変形量も小さくなると予測していたので此方も意外な結果でした。しかし、ボルトの締結箇所を2→4に増やすと変形量が半分程度に減っていることも確認出来ます。
上記の解析結果より
鋼材のように剛性のある材料は締結点を増やすことで変形の抑制効果がある。
また、ボルトのプリテンション荷重は高すぎても変形量を大きくさせるので過剰なテンションをかけないこと。がやはり重要であることが分かりました。
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