射出成形金型内におけるランナーや成形品の樹脂の流れは図①のようになっている
樹脂が金型に接すると直ぐに冷却し固化層を生成する。先端がL1だけ流れると外周はL2しか流れないので、中心と外周ではランナーの表面積が異なっている。樹脂の流れはトコロテンを押し出すように流れるのではなく無限に広がるゴム風船のようになっている。
図②のように流れの先端aの樹脂は進行するとa1~a5のように外周に広がっていく。
成形品の表面が配向しているのは、流れが壁との摩擦でこすられて流れの方向になびいて伸ばされ配向するのではない。a1の体積とa2の等の体積は等しいが、表面積は大きく異なっているため表層の樹脂が引き伸ばされて配向するのである。
シリンダー先端の樹脂はスプルー付近の外壁を形成し、シリンダーの奥の(スクリュー先端に近い部分)樹脂が成形品の端末(ゲートから遠いところ)を形成する。
スクリュー先端の樹脂はホッパーから最も短い距離で混錬されたため、粘度と温度が不十分でありフローマークが出やすい。
成形品の端末が充填されるときには流速、圧力が低下している。更に周囲の樹脂は固化収縮するので一時流れが停滞し(へジテーション:躊躇、ためらい現象)圧力が補充されて再び流れ出すと付着とスリップが繰り返され、流れた跡がフローマークや指紋状のしわになる。
だがら流れと直角に跡が残るのである。
これは、ビビリ流れともいえる。シリンダーの能力に比べ射出量が過大なもの、ゲートからの拡がりの大きな成形品、低温金型と低温の樹脂、射出速度の遅いもの等に生じやすい
粘度の温度依存性の大きな材料は特に生じやすい。
これらのフローマークを避けるには以下の対策がある。
①最大射出速度近くで射出させたり、シリンダーを太くする。あるいは機械を替える
②金型温度を高くする
③樹脂の温度を高くする
つまり、高速射出ができるようになることがフローマークの対策となるのである。
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