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用語解説:樹脂成形品におけるクリープとは

樹脂成形品におけるクリープ(Creep)とは、成形品に一定の荷重を長時間かけ続けたときに、時間の経過とともに少しずつ変形していく現象です。

金属と比べてプラスチックでは特に重要な現象です。


例えばこんな現象です

樹脂製の棚が本によりクリープ変形している様子

樹脂製の棚受けに本を載せたとします。

最初は、 少しだけたわむだけだったものが、荷重をかけ続けると、

最初 → 少したわむ 1日後 → さらにたわむ 1年後 → 大きくたわむ

というように、荷重そのものが増えていなくても変形が進行します。

これがクリープです。


なぜプラスチックはクリープするのか?

プラスチックは、金属のような完全な固体というより、粘性を持った材料としての性質も持っています。

そのため、荷重を受けると、

瞬間的な弾性変形時間とともに進む変形荷重を取り除いても完全には元に戻らない

という挙動を示します。特に影響が大きいのが温度です。

一般的には、

温度が高いほど、クリープは急激に進行する

と考えてよいです。

例えば、常温では問題ない樹脂部品でも、エンジンルームなどの高温環境ではクリープによって寸法や締結力が変化することがあります。


射出成形品ではどんなところで問題になる?

実際の製品では、例えば以下のようなケースがあります。

部品・用途

クリープによる問題

樹脂製ブラケット

荷重によるたわみ

ネジ締結部

締結力の低下

スナップフィット

保持力の低下

ギア

歯形状の変化

ベアリング保持部

穴径の変化

コネクタ

接触圧の低下

樹脂製フック

徐々に伸びる・変形する

自動車部品

高温環境での永久変形

特にネジ締結は分かりやすい例です。

ネジ締結部のクリープ発生イメージ

樹脂部品をネジで強く締め付けると、最初は十分な締結力があります。しかし長期間経過すると、ネジ周辺の樹脂が徐々に変形して、締結軸力が低下することがあります。


「応力緩和」との違い

クリープとよく一緒に出てくるのが応力緩和です。

この2つは似ていますが、条件が違います。


・クリープ

荷重・応力を一定にする

→ 時間とともにひずみ(変形)が増える


・応力緩和

変形量を一定にする

→ 時間とともに応力・締結力が低下する

例えば、樹脂製クリップを一定量押し広げた状態で保持すると、最初は強い反発力がありますが、時間が経つと反発力が小さくなります。


材料によっても大きく違う

クリープ特性は樹脂によってかなり異なります。

例えば一般的な傾向として、

結晶性樹脂

PP、PE、PA、POM、PBT

などは温度や荷重によってクリープ特性が大きく変化します。

一方、

非晶性樹脂

ABS、PC、PMMA、PS

などもクリープします。

したがって「樹脂だからこのくらいクリープする」と一律には決められず、樹脂種類・温度・応力・時間・繊維の有無などを考慮する必要があります。


ガラス繊維を入れると?

ここは射出成形では非常に重要です。

例えば、

PP → GF30%入りPP

のようにガラス繊維を添加すると、一般的にはクリープ変形を抑制する方向になります。

ガラス繊維そのものは樹脂よりも剛性が高く、長時間荷重を受けたときの樹脂の変形を抑えるためです。

ただし、

「GFを入れればクリープしない」わけではありません。

特に射出成形品では繊維配向によってクリープ特性が大きく変わります。

例えば、

繊維方向 > 繊維直交方向

のように、荷重方向とガラス繊維の配向によって剛性・クリープ特性が変わってきます。

これは以前お話しした**「繊維方向によって収縮率が違う」問題**とも関連しています。

一言でまとめると

クリープとは、「同じ荷重をかけ続けているだけなのに、樹脂が時間とともに少しずつ変形していく現象」です。

射出成形品の設計では、**「強度が足りるか」だけでなく「10年後も変形しないか」**を見る必要があるため、非常に重要な特性です。


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