用語解説:樹脂成形品におけるクリープとは
- SANKO GOSEI
- 5 分前
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樹脂成形品におけるクリープ(Creep)とは、成形品に一定の荷重を長時間かけ続けたときに、時間の経過とともに少しずつ変形していく現象です。
金属と比べてプラスチックでは特に重要な現象です。
例えばこんな現象です

樹脂製の棚受けに本を載せたとします。
最初は、 少しだけたわむだけだったものが、荷重をかけ続けると、
最初 → 少したわむ 1日後 → さらにたわむ 1年後 → 大きくたわむ
というように、荷重そのものが増えていなくても変形が進行します。
これがクリープです。
なぜプラスチックはクリープするのか?
プラスチックは、金属のような完全な固体というより、粘性を持った材料としての性質も持っています。
そのため、荷重を受けると、
瞬間的な弾性変形➡時間とともに進む変形➡荷重を取り除いても完全には元に戻らない
という挙動を示します。特に影響が大きいのが温度です。
一般的には、
温度が高いほど、クリープは急激に進行する
と考えてよいです。
例えば、常温では問題ない樹脂部品でも、エンジンルームなどの高温環境ではクリープによって寸法や締結力が変化することがあります。
射出成形品ではどんなところで問題になる?
実際の製品では、例えば以下のようなケースがあります。
部品・用途 | クリープによる問題 |
樹脂製ブラケット | 荷重によるたわみ |
ネジ締結部 | 締結力の低下 |
スナップフィット | 保持力の低下 |
ギア | 歯形状の変化 |
ベアリング保持部 | 穴径の変化 |
コネクタ | 接触圧の低下 |
樹脂製フック | 徐々に伸びる・変形する |
自動車部品 | 高温環境での永久変形 |
特にネジ締結は分かりやすい例です。

樹脂部品をネジで強く締め付けると、最初は十分な締結力があります。しかし長期間経過すると、ネジ周辺の樹脂が徐々に変形して、締結軸力が低下することがあります。
「応力緩和」との違い
クリープとよく一緒に出てくるのが応力緩和です。
この2つは似ていますが、条件が違います。
・クリープ
荷重・応力を一定にする
→ 時間とともにひずみ(変形)が増える
・応力緩和
変形量を一定にする
→ 時間とともに応力・締結力が低下する
例えば、樹脂製クリップを一定量押し広げた状態で保持すると、最初は強い反発力がありますが、時間が経つと反発力が小さくなります。
材料によっても大きく違う
クリープ特性は樹脂によってかなり異なります。
例えば一般的な傾向として、
結晶性樹脂
PP、PE、PA、POM、PBT
などは温度や荷重によってクリープ特性が大きく変化します。
一方、
非晶性樹脂
ABS、PC、PMMA、PS
などもクリープします。
したがって「樹脂だからこのくらいクリープする」と一律には決められず、樹脂種類・温度・応力・時間・繊維の有無などを考慮する必要があります。
ガラス繊維を入れると?
ここは射出成形では非常に重要です。
例えば、
PP → GF30%入りPP
のようにガラス繊維を添加すると、一般的にはクリープ変形を抑制する方向になります。
ガラス繊維そのものは樹脂よりも剛性が高く、長時間荷重を受けたときの樹脂の変形を抑えるためです。
ただし、
「GFを入れればクリープしない」わけではありません。
特に射出成形品では繊維配向によってクリープ特性が大きく変わります。
例えば、
繊維方向 > 繊維直交方向
のように、荷重方向とガラス繊維の配向によって剛性・クリープ特性が変わってきます。
これは以前お話しした**「繊維方向によって収縮率が違う」問題**とも関連しています。
一言でまとめると
クリープとは、「同じ荷重をかけ続けているだけなのに、樹脂が時間とともに少しずつ変形していく現象」です。
射出成形品の設計では、**「強度が足りるか」だけでなく「10年後も変形しないか」**を見る必要があるため、非常に重要な特性です。






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