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改善事例:サーボモーター使用による成形サイクル短縮事例

1. はじめに

射出成形の生産現場では、サイクルタイム短縮は永続的なテーマであり、わずか数秒の改善であっても年間で見ると大きなコスト削減につながります。特に成熟した量産品では、すでに多くの改善が積み重ねられているため、新たな短縮余地を見つけることが難しくなります。

今回紹介する事例は、トナー容器(ボトル製品)の量産金型において、従来の油圧スライド機構をサーボモーター駆動へ置き換えることで成形サイクルを短縮し、年間200万円以上の改善効果を実現した取り組みです。


2. 対象製品と背景

対象となった製品は、A3カラーコピー機に使用されるトナー容器です。

2種類のトナー容器の画像

黒トナー用の「Kタイプ」と、カラー3色用の細型「YMCタイプ」があり、富山工場にて成形から組立、出荷まで一貫して生産されています。

年間生産数は以下の通りです。

  • Kタイプ:約90万個/年

  • YMCタイプ:約170万個/年

更新型の立ち上げにあたり「更なるコストダウン」が求められていました。従来からサイクル改善を重ねてきた製品であり、アイデアが枯渇する中でも今回は思い切った金型構造変更に挑戦することとなりました。


3. 改善目標

本活動では以下の目標が設定されました。

  1. サイクル短縮 Kタイプ:2秒以上短縮 YMCタイプ:2秒以上短縮

  2. 稼働時間短縮 年間36日以上削減(23時間稼働換算)

成熟品での改善としては非常に高いハードルですが、金型・工程両面から改善策が検討されました。


4. サイクル短縮の方策

今回の改善は大きく3つの施策で構成されています。

① スライド作動の高速化(油圧→サーボ化)

スライド作動の高速化

従来の2号型ではスライド作動に油圧シリンダーを使用しており、ストローク380mmの動作に15.2秒を要していました。さらに左右2本のシリンダーによる作動差も課題でした。

改善後の3号型では、スライド駆動を以下の構成へ変更しました。

  • サーボモーター(1個)

  • ボールねじ(1本)

  • リニアガイド(2本)

これにより型開閉時間は13.4秒となり、1.8秒短縮を達成しました。左右差も解消され、型サイズも2.4mから1.8mへコンパクト化しました。


② 冷却バランス改善(入子分割)

冷却バランス改善

従来の冷却水路は入子交換穴を避ける必要があり、左右で製品からの距離が異なる構造でした。その結果、冷却ムラによる蓄熱が発生し、製品のねじれ変形や次工程での溶着不良が課題となっていました。

3号型では入子を分割することで左右水路を均等配置でき、蓄熱を解消。冷却時間を1.0秒短縮しても変形は許容範囲内となりました。


③ 梱包工程のムダ削減(ゲートカス除去改善)

梱包工程の無駄削減

成形後のゲートカス除去工程では、複数機種共用のためロボットが左右往復動作を行っており、ムダな動きが発生していました。

改善後は機種切替シリンダーを設置し、往復動作を不要化。梱包機サイクルを1.6秒短縮しました。


5. 改善結果

これらの施策により、最終的な成形サイクルは以下の通り改善しました。

タイプ

改善前

改善後

短縮

K

30.5秒

27.7秒

▲2.8秒

YMC

27.9秒

25.1秒

▲2.8秒

目標であった2秒以上短縮を両タイプで達成しました。

内訳としては、

  • 型開閉時間:▲1.8秒

  • 冷却時間:▲1.0秒

  • 梱包工程:▲1.6秒(付帯効果)

となり、金型改善と工程改善の両輪で成果を上げています。


6. 改善効果

今回の改善活動による改善効果は約241万円/年。

稼働時間削減は年間43.9日(2台合計)に達し、生産能力向上にも大きく貢献しています。


7. まとめ

本事例では、成熟した量産品においても「既存の考え方にとらわれない構造変更」によってサイクル短縮を実現しました。油圧シリンダーからサーボモーターへの置き換えは、単なる速度向上だけでなく、左右差解消や金型サイズ縮小、将来的な転用可能性といった付加価値も生み出しています。

たった2.8秒の短縮であっても、年間では200万円以上の効果となり、改善活動の重要性を改めて示す結果となりました。

今後も生産性向上に向け、部門を超えた協力と新技術の活用を通じて、継続的な改善を進めていくことが期待されます。

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