金型材料の選定基準は成形材料の種類、充填材の有無、成形品の形状、成形品の要求品質、総ショット数で決められる。金型の材料に要求される内容は
耐摩耗性、強度、鏡面仕上げ性、耐食性、被削性、納期及び価格などである。
①耐摩耗性と強度
金型材料の耐摩耗性は金型寿命を大きく左右する要因となる。小物精密金型では
SK,SS,SKDなどの炭素工具鋼、合金工具鋼を焼入れして使用するが、一般にはS50C,S55C,
SCM3~5が広く使われている。しかし最近は樹脂材料の充填材増加やバリの出ない
金型など業界のニーズに応え、プリハードン鋼の使用が増加している。
強度の面では射出圧力や型締め圧力に十分耐え得る必要がある。
②鏡面仕上げ性
特に透明成形品などの場合に使用され、磨き材ではピンホールがないこと、均一な組織
であること、硬度が高いことなどが必要である。これにもプリハードン鋼の使用が有利
である
③耐食性
塩化ビニルや難燃性の樹脂から、塩素ガスや塩化水素が発生するので金型のキャビティは
腐食する。そのため、一般に硬質クロムメッキを施すがステンレス鋼を使用する場合も
ある。
④被削性
被削性は材料の硬度だけでは決まらないが、材料硬度が高くなるとその加工性が落ちる
ので工数の増加につながる。
⑤金型製作日数と価格
金型の製作日数は今後ますます短縮することが望まれるので、金型材料がすぐに入手
できることが重要になる。また特殊鋼はS55Cに比べて数倍(3~5倍)重量単価が高い。
表1にプラスチック金型鋼材、主要メーカー、硬度、成形材料、耐久ショット数などを示す
金型の寿命は成形品の形状、成形材料、成形条件、使用成形機の精度、金型構造、金型材料(焼入れ硬度)、金型の取り扱い、寿命の測定基準により異なってくるので一概には言えないが、S55Cでは20万~30万ショット、他の鋼材では表1に示すとおりである。
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