RPA AppSheet活用による間接業務の効率化事例
- SANKO GOSEI
- 8月26日
- 読了時間: 4分
はじめに
現代の製造業では、現場の生産性向上だけでなく、設計・資材・購買・管理などの“間接業務”の効率化も不可欠です。弊社テクニカルセンターでは、こうした間接業務に対し、**RPA(Robotic Process Automation)とAppSheet(ノーコードアプリ開発プラットフォーム)**を活用し、業務時間の短縮とヒューマンエラーの削減を実現しています。本記事では、その取り組みと具体的な成果を紹介します。
RPAによる「作業の自動化」で業務改善
RPAは、PC上のルーティン作業を自動で行う「デジタルロボット」です。弊社では他システムから出力されたデータを整理し、入力フォーマットに自動転記したり、異なる形式の情報を突合して内容をチェックするなど、人手による作業を代替しています。

【事例①】部品一覧表の自動作成
金型部品の発注前に必要な「部品一覧表」は、従来1型あたり3時間かかっていましたが、RPA導入により30分に短縮。年間60型分の作成時間が大幅に削減され、約105万円/年の工数削減効果が得られました。
【事例②】見積比較・発注登録の自動化
金型部品の見積比較から発注登録までの作業も、従来は手入力で4時間程度かかっていました。これをRPAによりCSV出力→自動転記→発注書出力まで自動化することで、作業時間を0時間に削減し、ヒューマンエラーもゼロに。これにより、約250万円/年のロス削減効果が出ています。
RPA導入全体では、年間約1,093万円の工数削減につながっており、その費用対効果は非常に高いといえます。
AppSheetによる「インプット業務の効率化」
AppSheetは、プログラミング知識のない社員でも、スプレッドシートをもとに簡単に業務アプリを作成できるノーコード開発ツールです。RPAが“入力の代行”を得意とするのに対し、AppSheetは“人が簡単に入力できる環境”を作ることに特化しています。

【事例①】備品購入依頼書のアプリ化

従来は、紙ベースで記入・承認・照合を行っていた備品購入依頼書ですが、AppSheetによるアプリ化で以下の改善が得られました。
過去の購入履歴からの選択入力 → 入力ミス減少
購入希望品の正しい規格入力 → 手戻り削減
各承認ステップもアプリ内で完結
この結果、ヒューマンエラーゼロ、作業時間は120分→30分に短縮されました。
【事例②】依頼メール管理アプリ

金型設計業務の拡大に伴い、修理・改造・新規製作依頼の管理が煩雑になっていました。設計宛に送られる1日100件超の依頼メールが「確認漏れ・対応遅れ」の原因となっていました。
AppSheetを活用して「依頼メモアプリ」を開発。依頼内容をアプリで一元管理することで、未読の依頼や対応ステータスが可視化され、製造現場への展開が迅速に。納期ギリギリの対応が減り、設計の効率も大幅に向上しました。
【事例③】金型進捗状況管理アプリ

設計室に設置された「金型進捗状況管理板」は、手書き・手動更新で運用されており、離れた部署が内容を確認するために何十歩も歩く必要がありました。
この管理板をAppSheetでアプリ化することで、各自の席で簡単に閲覧・更新が可能に。これにより、作業効率向上と情報共有の迅速化が実現しました。
導入効果のまとめと今後の展開
AppSheetの導入による間接業務の効率化では、年間約190万円の工数削減効果が見込まれています。さらに、RPAと組み合わせることで以下のようなメリットが得られます。
入力ミス削減(ヒューマンエラーの排除)
情報のリアルタイム共有
間接作業時間の大幅削減
社員の本来業務(判断・創造的業務)への集中
現在はセキュリティ上の理由で一部アプリの正式運用が制限されていますが、現在はその課題も解決され、今後は**アカウント発行・管理体制の整備と、RPAによる更なる自動化(メール読み取り→アプリ自動入力)**が進む予定です。
終わりに:デジタルツールを使いこなす現場主導の改善活動
今回の取り組みは、いずれも現場から生まれた課題意識と、担当者の創意工夫によって実現したものです。IT部門主導ではなく、現場で実際に業務を行う担当者が自らアプリを作成し、RPAを運用している点が特徴です。
こうした“自律的な業務改善”は、今後のスマートファクトリー化の鍵となる動きであり、T&E工場での実践例は、他工場や他業種でも応用可能な成功事例といえるでしょう。










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