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革新の成形技術:材着シルバーの開発と成形プロセス

SANKO GOSEI

製造業において、外装部品のコスト削減と高品質な仕上がりを両立することは、常に大きな課題です。その中で注目されているのが「材着シルバー」成形技術です。三光合成株式会社は、世界最大級の無塗装シルバー部品を成形し、外観品質と生産効率の向上を両立させました。本記事では、材着シルバーの基本、課題と対策、成形プロセス、実績を詳しく解説します。


材着シルバー成形技術とは?

材着シルバーの量産成形品

材着シルバー成形技術は、塗装不要なシルバー樹脂を使用する成形プロセスです。成形工程で金属粉を含む特殊な樹脂を射出し、製品の表面に高級感のあるシルバーカラーを直接形成します。これにより、従来の塗装工程が不要となり、コスト削減と環境負荷軽減が可能です。


開発の背景と目的

  • コスト削減のニーズ

    外装部品の塗装工程は、高コストで環境への影響も大きい。

  • 高品質な外観要件

    自動車外装部品は美観と耐久性の両立が必要。

  • 競争力強化

    同一金型で黒とシルバーの打ち分けを行うことで、生産効率が向上。


課題と対策

材着シルバーの成形には、以下のような課題がありました。

1. 樹脂の流動ムラ(フローマーク)

問題点:

樹脂流動ムラ(フローマーク)の発生

金属粉を含む樹脂は比重が重く、成形時の流動が不均一になりがち。特に「a」部分は早く充填され、「b」部分は遅れることでフローマークが発生しました。

対策:

  • 肉厚の調整


    「c」部分の肉厚を増加させ、樹脂の流動速度を上げることで全体の流れを均一化。

  • 流線マニフォールドの採用


    樹脂の流動をコントロールするため、流線マニフォールドを設計し、樹脂の流れを安定化。

2. 最適な成形条件の特定

問題点:

フローマーク対策

新素材での外観評価が難しく、試作金型を複数回製造するリスクがありました。

対策:

CAEによる流動解析の実施

CAE解析の導入


量産金型の前にCAE解析を活用し、樹脂の流れやゲート位置の最適化を事前に確認。試作金型での検証も行い、最適形状を決定しました。


材着シルバーの成形プロセス

材着シルバー成形は、以下のプロセスで進行します。


  1. 材料準備

    金属粉を含む樹脂ペレットを準備。

  2. 射出成形

流線マニフォールド

最適な成形条件で射出。樹脂は流線マニフォールドを通り、ムラなく金型に充填されます。


  1. 冷却・固化

    成形品を冷却して形状を固定。

  2. 仕上げと検査

    外観のフローマークや形状のムラがないか検査し、完成品とします。


実績と成果

三光合成では、この技術を用いて世界最大級の無塗装シルバー外装部品を製造しています。以下の成果が確認されました。

  1. コスト削減

    塗装工程を完全に排除し、生産コストが大幅に削減。

  2. 環境負荷軽減

    塗装工程で使用される溶剤や排出物が発生しないため、環境への影響を最小限に抑制。

  3. 高品質な外観

    フローマークや外観ムラが発生しない、安定した製品供給が可能。

  4. 生産効率向上

    同一金型で黒とシルバーを切り替えて成形でき、生産効率が向上しました。


今後の展望と応用可能性

材着シルバー成形技術は、自動車の外装部品だけでなく、家電製品や建材、医療機器の外装部品にも応用が期待されています。今後は、さらに大型の製品や特殊形状の部品に適用し、持続可能な製造プロセスの確立を目指しています。


まとめ

材着シルバー成形技術は、塗装工程を排除しながらも、美観と耐久性を兼ね備えた外装部品を製造する画期的な技術です。三光合成が開発したこの技術は、環境負荷の軽減と製造コストの削減に大きく貢献しています。

これからも、さまざまな分野でこの技術の応用が広がることが期待されます。成形技術の進化によって、さらに効率的で高品質な製品が生み出されることでしょう。

 



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