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次世代部品革命!バスバー成形技術で実現する電気接続の最前線

SANKO GOSEI

近年、電気自動車(EV)や再生可能エネルギー、産業用電気システムの普及に伴い、高効率で信頼性の高い電気接続部品の需要が急増しています。その中でも特に注目されているのが「バスバー成形」と呼ばれる技術です。この記事では、バスバー成形の基本、プロセス、応用分野、技術的なメリットと課題について詳しく解説します。


バスバー成形とは?

バスバー(Busbar)とは、電流を効率的に分配するための導電性部品で、多くの場合は銅やアルミニウムで作られています。このバスバーに樹脂を成形して絶縁や保護を行う工程が「バスバー成形」です。バスバー・インサート成形とも呼ばれます。

バスバー成形品サンプルの画像

バスバー成形は、導電性と絶縁性という異なる特性を一体化する技術で、射出成形によって行われます。この技術により、高い電気性能と物理的強度を持つ部品を効率的に製造することが可能となります。


バスバー成形のプロセス

バスバー成形の製造プロセスは主に以下の手順で構成されます。

1. バスバー素材の準備

バスバーは通常、銅やアルミニウムの板材から加工されます。導体部分の形状は、回路設計や使用用途に応じてレーザー加工やプレス加工によって作られます。

2. 樹脂の選定

樹脂は絶縁性や耐熱性が求められ、エポキシやポリカーボネート、ナイロンなどがよく使用されます。特に高電圧対応の場合には、耐電圧性の高い材料が選ばれます。

3. 射出成形

射出成形機を使用して、導体となるバスバー部分に樹脂を成形します。この際、金型内でバスバーが適切に保持され、樹脂が均一に流れ込むように設計されます。

4. 冷却と取り出し

成形が完了した後、製品を冷却し、金型から取り出します。成形された製品は、バスバーの導体部分と樹脂絶縁部分が一体化した構造になります。


バスバー成形のメリット

バスバー成形技術には以下のような多くのメリットがあります。

1. 絶縁性と保護性能の向上

バスバーに樹脂を成形することで、優れた絶縁性が確保されます。これにより、高電圧の回路でも安全性が向上します。また、樹脂が外部からの衝撃や湿気、汚れを保護する役割を果たします。

2. 軽量化

アルミニウムなど軽量な導体と薄肉成形の樹脂を組み合わせることで、従来のケーブル配線に比べて大幅に軽量化が可能です。これは特に電気自動車や航空機などで重要なポイントです。

3. コンパクトな設計

バスバー成形により、複雑な形状をコンパクトに一体化できます。これにより、配線スペースの節約が可能となり、設計の自由度が高まります。

4. 量産性とコスト効率

射出成形を活用することで、複雑な形状を持つ部品を高い精度で量産でき、コスト効率が向上します。


応用分野

バスバー成形技術は、以下のような多岐にわたる分野で活用されています。

1. 電気自動車(EV)

電池モジュールやインバーター、充電システムにおいて、バスバー成形は信頼性の高い電気接続を提供します。

2. 再生可能エネルギー

太陽光発電や風力発電の設備で、高効率な電流分配を実現します。

3. 産業用機器

工場の電気配線や大型機械の内部回路に使用されます。

4. 医療機器

信頼性が要求される医療機器の内部配線にも採用されています。


バスバー成形の課題と対策

バスバー成形には多くのメリットがありますが、いくつかの課題も存在します。

1. 樹脂と金属の接着性

金属導体と樹脂の接合部で剥離が発生する可能性があります。これにより、電気的性能や耐久性が低下する恐れがあります。

対策: 接着性を向上させるために、導体表面を粗面化処理するか、プライマーを使用します。


2. バスバー変形による偏肉の発生

射出圧力が加わると金型内のバスバーが変形してしまい、先に樹脂が流動する方に肉厚が偏ってしまう。そのため、薄肉部から破壊が生じたりバスバーが露出することがある。

偏肉が発生しているバスバー成形品の画像

対策: 射出圧力が加わる場所にバスバーを保持するピンを金型に追加する。保持した箇所はバスバーが露出するが、偏肉を抑制することが出来る。


偏肉を回避する方策

2. 熱膨張の差

金属と樹脂の熱膨張率が異なるため、高温環境で応力が発生し、変形やひび割れが生じる可能性があります。

対策: 熱膨張率の近い材料を選定するか、応力を分散する設計を採用します。


3. コスト増加

金型の設計や特殊材料の選定が必要なため、初期コストが高くなる場合があります。

対策: 初期投資を抑えるために、成形プロセスを最適化し、材料の歩留まりを向上させる工夫が必要です。


まとめ

バスバー成形技術は、現代の電気接続部品の製造において欠かせない存在です。その絶縁性、軽量性、コンパクトさ、量産効率は、多様な分野での活用を可能にしています。一方で、接着性や熱膨張の課題に対処するための高度な技術も必要とされます。

今後、電気自動車や再生可能エネルギーなどの成長分野で、バスバー成形技術はますます重要な役割を果たすでしょう。技術の進化により、より高性能でコスト効率の良い製品が市場に登場することが期待されています。

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