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射出成形プロセスの応用

射出成形機は、ハイサイクル化、省エネ化は言うまでもなく、成形品の品質安定に重点が

置かれている。多段射出に始まり、外部要因により変化する因子をコンピュータ制御に

よってフィードバックし、補正して連続成形を可能にしている。


 ①アキュームレータ

  アキュームレータはピストン型とブラダ型とがある。ピストン型に窒素タンクを連結

 すれば、使用される油量が急激に変化しても回路油圧は保持されるので、ショットごとの

 成形機各部の働きに高い再現性が保証される。これを装備した駆動システムは、省エネに

 繋がるだけでなくハイサイクル化を可能にし、かつ成形品を高品質なものにする。

 ②射出速度のプログラム制御

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  材料流速が良品流速域を外れると、成形品外観には表1に示すような種々の不良現象が 

 生じる。すなわち、流動断面積の変化に伴う流速変化を、いかに良品流速域の範囲

 (ほぼ同程度の材料流速域にあること)にとどめるかが重要になる。

 材料流速を射出速度に置き換えて考えると、それぞれの不良現象の発生する個所の流動断 

 面積によって、射出速度域は大幅に変わってくる。図1に不良現象と射出速度の関係を

 示す。相反する不良現象も、図中の良品射出速度域に射出速度をプログラム設定すれば

 同時解消が可能になる。

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 ③保圧プログラムの制御

  保持圧力が高すぎる場合と低すぎる場合の不良現象をまとめると、表2のようになる。

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 材料の冷却は決して均一に行われていない。冷却が進んで材料の流動性が失われるに従い

 圧力は伝達しにくくなる。従って油圧によって材料に加えた保持圧力は末端まで均一には

 かからず、冷却の進行に伴い不均一となる。その結果、ゲートから遠い点が先に圧力が

 弱くなり、ゲートに至近の点には、ゲートシールの瞬間まで圧力が保持されている。

 こうしたタイミングの違いを考慮すると、図2に示すように保圧工程の不良現象を時間に 

 対する図で表すことができ、保圧のプログラムにより相反する不良現象の同時解消が可能

 になる。


 ④高射出率化、高圧化

  金型内を流動中の材料は、低速射出の場合ほどゲートから遠い位置での温度低下が進み

 粘度が上がるため高圧が必要である。このような、流動中の材料の状態が変化しすぎる

 ことは、成形品の不均一さを助長して歪みや残留応力及び外観などへの悪影響を生じる

 ことになる。よって、差し支えのない範囲で高速充填を心掛けるべきである。そのため

 最近の成形機は、ポンプ、モーター、バルブの容量アップや、アキュームレータの採用

 などで射出率を上げ幅広い射出速度範囲に対応している。

  また、成形収縮率を小さくして精度を上げたり、充填圧力を増大させてエンプラ部品

 などの薄肉化を図るために、最高射出圧力が4000kgf/cm^2の高圧機が出現している。

 また、汎用機においても、2000~3000kgf/cm^2へと高射出圧力化が進んでいる。


 ⑤キャビティ真空吸引

  材料の充填時間が短い程、金型内の空気は短時間に排出されねばならない。

 そのため、金型にエアベントを設けたりするが、成形品の精度を上げるためや

 サイクル短縮を図る目的でキャビティの真空吸引による方法が普及しつつある。


 ⑥閉ループ制御

 閉ループ制御の特徴は、速度や圧力が測定検出でき、あらかじめ決められた設定値に

 合わせるために制御装置に連続的にフィードバック出来ることである。その際、重要な

 ことは、速度や圧力が直接測定検出されることである。そして、その制御動作は一つの

 閉じられた制御ループの中で行われる。もし、設定値と検出値とが、外乱の影響を受けて

 一致しないときには、制御装置はこの二つが一致するまで制御量を調節する。図3に

 閉ループ制御のブロック線図を示す。

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 成形品の精度は、連続成形中は非常に良い値を示しても、日間変動と共に、成形条件を

 再設定する際の誤差が大きいことがある。

 この再設定精度を上げる最も単純で効果的な方法として、設定のデジタル化が普及

 しつつある。そして、デジタル設定と同時に油圧の制御にも閉ループ制御を適用した

 コントロールシステムが多くなった。デジタル化に対応する油圧制御弁には大きく分けて

 電磁式比例弁とサーボ弁(図4)とがある。

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 電磁式比例弁が閉ループ制御を前提とした弁で あるのに対し、サーボ弁は閉ループ制御 

 を前提とした弁である。閉ループ制御では図3に示したように検出器や比較調整計など

 機器が増えるため、個々の装置の精度の良いことや寿命の長いこと、特に検出器の精度は

 閉ループ制御の生命であり、温度による零点移動のないこと、ヒステリシスの少ないこと

 が絶対条件となる。また、PID制御(比例制御、積分制御、微分制御を併用するもの)などの

 適用により、弁のヒステリシスの補正、負荷の変動によらない高い再現性、脈動の少ない

 立ち上がり特性などの問題対処に大きな効果があり、系全体としての安定性が保てる。

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