製造業における効率化は、競争力を高めるための重要な要素です。特に、インサート成形における省力化は、生産性向上とコスト削減に直結します。本記事では、インサート成形の基本から、熱圧入機の半自動化による省力化の取り組みまでを詳しく解説します。

インサート成形とは?
インサート成形は、金属部品(インサート)を樹脂製品に組み込む技術です。主に以下の2つの方法があります。

金型内インサート方式:成形前に金型内にインサートをセットし、射出成形と同時に樹脂と一体化させる方法です。大量生産に適していますが、インサートセット用の機械が必要で、初期投資が大きくなります。

後工程圧入方式:成形後の樹脂製品に対し、圧入機を用いてインサートを圧入する方法です。初期コストは抑えられますが、成形とは別工程となるため、サイクルタイムが延びる傾向があります。樹脂の材質やインサートの大きさによっては熱を加えながら圧入するものもあります。
これらの方法は、製品のインサート数や生産量に応じて使い分けられます。
熱圧入機の半自動化による省力化
後工程でのインサート圧入は、手作業が多く、省力化が課題となります。そこで、熱圧入機の半自動化が効果的な解決策となります。
半自動化のメリット
生産キャパシティの増加:手作業に比べ、同時に複数のインサートを圧入でき、生産効率が向上します。
品質の安定化:機械による圧入で、均一な品質を確保できます。
作業者の負担軽減:手作業の負担が減り、作業者の疲労軽減やミスの削減につながります。
半自動化の事例

三光合成株式会社では、圧入工程の一部を半自動化することで、生産キャパシティを増加させた事例があります。特に、多数個同時加工の場合、大きな効果が期待できます。

半自動化で量産されている自動車用バッテリー部品
インサート成形における注意点
インサート成形を行う際には、以下の点に注意が必要です。
インサート部品の寸法公差:インサート部品の寸法公差を考慮し、金型設計を行う必要があります。例えば、インサートの外径がφ12±0.1mmの場合、最大公差のφ12.1mmに合わせて金型を設計しないと、インサートが入らない可能性があります。
▸インサート成形における注意点①
樹脂の侵入防止:インサートと金型の隙間から樹脂が侵入し、外観不良を引き起こすことがあります。この場合、インサートの天面まで樹脂で覆う設計に変更することで、外観を綺麗に仕上げることが可能です。
▸インサート成形における注意点②
まとめ
インサート成形における熱圧入機の半自動化は、生産性向上と品質安定化に大きく寄与します。特に、多数個同時加工の場合、省力化の効果が顕著に現れます。また、インサート成形を行う際には、部品の寸法公差や樹脂の侵入防止など、細部にまで注意を払うことが重要です。
これらの取り組みにより、製造現場の効率化と高品質な製品の提供が可能となります。今後も技術革新を続け、さらなる省力化と生産性向上を目指していきます。
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