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せん断粘度測定システムの装置概要

更新日:2022年12月21日

市販のキャピラリーレオメータを使うと、測定装置として完成されているので便利であるが、測定の原理を理解する上でも周りの装置を利用することも可能である。ここでは、弊社で製作した射出成形機を用いたせん断粘度測定器を紹介する。別資料となりますが測定器として製作した各種ダイや装置の型番等も紹介する。また、測定方法についても別に紹介する。 


射出成形機を使ったせん断粘度測定器は、いくつかの利点があると思い製作した。

 1.通常の成形機を使うので、成形機で混練を行うなどの際に実際に近い測定ができる。

 2.射出成形機の可塑化・射出装置を使うので粘性の高い樹脂に対しても流動させることが可能。

 3.流路の設計しだいで、測定したいせん断速度近傍を容易に測定できるようになる。

といった測定上の工夫は容易に行える。

 一方で、不利な点も多くある。

 1.専用機では無いので測定作業や装置の準備自体が煩雑である。

 2.装置が大きくなるので、測定ダイ内での発熱などを考慮する必要がある。

 3.温度や樹脂の測定ダイ内での流動を測定系内でバラツキを押さえる工夫が必要。

特に不利な点3.の流動に関しては、装置で工夫するのか測定のやり方で工夫するのかが悩ましい。弊社では、ソディック社製のスクリュープリプラ型射出成形機を利用した。射出機構がプランジャーであるため逆流防止弁のしまりを意識する必要がなく、射出速度によって樹脂の逆流による見かけ流量と実際の流量の差異をどう考えるかといった測定時のデータ解釈の悩みは少なくなると思われる。

 本装置を最初に製作した1990年代中頃は、ゲート部分など狭い部分を流動する際の圧力損失が大きいのではないかということで、高せん断速度でのせん断粘度測定が注目されていた。本装置でも、見かけせん断速度(計算上のせん断速度)で数10万[1/sec]という領域の粘度測定を行ったが、実際には、壁面での滑りが発生している事が確認され、樹脂物性自体の測定範囲はそこまでは広がらなかった。また、低せん断速度領域の測定では、吐出された測定後の溶融樹脂が下に落ちるとき、測定ダイ内の樹脂を吐出樹脂の自重で引きずり出す様な事が観測された。低せん断速度におけるせん断粘度測定では、装置の工夫や測定方法の工夫が必要と考えられる場合もある。測定時には、測定系内での不安定流動を意識して、都度、観察しながらデータ取りを行う必要がある。

ここに示すのは、装置の構成である。

 射出成形機のノズルを外しアダプターと粘度測定ダイを取り付ける。アダプターの目的は、射出成形機の可塑化装置の従来ノズルがねじ込まれている部分と粘度測定ダイとを繋ぐ役割を持っている。一体化してもかまわないと思うが、先に示したように粘度測定ダイの設計上の工夫は測定にも関わるので、アダプターを1部品入れている。アダプターには圧力センサー(P1)と温度センサー(T1)をねじ込めるようになっている。T1は樹脂流路まで挿入されており、粘度測定ダイに流入する樹脂温度を測るつもりのセンサーである。射出開始直後から、センサー回りでの溶融樹脂の流れにより測定される温度が上昇する事が観測できた。P1は、測定される数字に対する精度要求は少ない圧力センサーである。データを取り込む装置のトリガー信号に基本的には使っており、射出成形機を使うのであれば射出開始信号など他の信号と代用も可能である。

 粘度測定ダイには円筒状の穴が空いており、その流路を流れる樹脂の物性を測定する。P2、P3は円筒流路の流線になるべく乱れが生じないように小さな穴を空け樹脂だまりを作ってそこの圧力を測定する。P2,P3の差圧で粘度を計算する事から本測定装置の重要な役割を果たしている。T2,T3は、流路に顔を出すわけにはいかないので円筒流路のギリギリのところまで熱電対を挿入してあり樹脂温度を間接的に計測している。

 粘度測定ダイ、アダプターはバンドヒータによって個別に温度調節して流路内の温度が測定温度になる様に制御する必要がある。

 データロガー(レコーダー)は、圧力センサーの出力は電圧で、温度センサーの出力は熱電対として入力できるAD変換器をもったものである。電圧計測は、比較的高速なサンプリングが可能な物が多いが、温度センサーに関してはそれほど高速にサンプリングできない物が多い。温度センサーに関しては、どの程度のサンプリング周波数が必要かは考え方次第だが、弊社は100Hz程度で測定している。圧力センサーは、状況に合わせて、100~1,000Hz程度で測定することが多い。


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