射出成形における異物・黒点不良とは、製品の表面や内部に異物や黒点が発生する不良現象を指します。これは製品の外観や機能に悪影響を及ぼすため、品質管理上の重要な課題となります。
一見するとガス焼けのようにも見えますが発生原因は異なりますし、発生場所も決まった箇所に発生するわけではありません。
異物・黒点不良の具体例
異物: 異物は製品中に混入した望ましくない物質を指します。これには、金属片、ほこり、ゴム片、繊維、他の樹脂片などが含まれます。
黒点: 黒点は、製品の表面や内部に現れる小さな黒色の斑点です。これは主に樹脂の焼け焦げや汚れが原因となります。
異物・黒点不良の主な原因
原材料の汚染: 原材料の保管中にほこりや異物が混入したり、原材料自体に異物が含まれている場合。
機械設備の汚染: 成形機のバレル、スクリュー、ホッパー、金型に異物や劣化した材料が付着する場合。
高温分解: 樹脂が適切な温度範囲外で処理されると、分解して焦げ付き、黒点が発生する場合。
金型の汚れや摩耗: 金型表面に汚れや劣化がある場合、それが成形品に転写される場合。
カラーチェンジ時の残留物: カラーチェンジの際に前の色材が完全に除去されず、新しい材料と混ざる場合。
作業環境の汚染: 作業場の清掃が不十分であったり、クリーンルーム環境が適切に保たれていない場合。
異物・黒点不良の対策
原材料の管理: 高品質の原材料を選び、使用前にフィルターやマグネットで異物を除去します。 原材料を適切に保管し、湿気やほこりの混入を防ぎます。
機械設備の清掃とメンテナンス: バレル、スクリュー、ホッパー、金型などの定期的な清掃とメンテナンスを行い、異物の付着を防ぎます。 特に材料の変更時や生産終了後には、機械内部を徹底的に洗浄します。
温度管理の徹底: 樹脂の処理温度を適切に管理し、高温による分解を防ぎます。 温度センサーや制御装置の定期的な点検と校正を行います。
金型のメンテナンス: 金型の汚れや摩耗を防ぐため、定期的なメンテナンスとクリーニングを実施します。 金型表面に特殊コーティングを施すことで、汚れの付着を防ぎます。
カラーチェンジ時の洗浄: カラーチェンジを行う際、スクリューやバレルのパージを十分に行い、前の色材を完全に除去します。 パージ材を使用して徹底的に洗浄することも有効です。
作業環境の清掃と管理: クリーンルームやクリーンブースの導入によって作業環境を清潔に保ちます。 作業者の服装や手袋の使用を徹底し、異物の混入を防ぎます。
これらの対策を講じることで、射出成形における異物・黒点不良を減少させ、製品の品質向上を図ることができます。継続的な管理と改善が重要です。
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