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SANKO GOSEI

プラスチック=悪 本当にそうなのか?


SDGs

近年、世界的に「脱プラスチック」の動きが強まっており、プラスチックがまるで環境破壊の象徴のように扱われています。海洋汚染やマイクロプラスチック問題が注目を集める中、多くの国や企業が「プラスチックを使わない」「削減する」という方針を打ち出しています。もちろん、これらの取り組みは環境保護の観点から非常に重要ですが、果たして「プラスチック=悪」という図式がすべてに当てはまるのでしょうか?

本記事では、プラスチックが実は環境に配慮しているケースや、逆に脱プラスチックがもたらす課題について考えてみたいと思います。


プラスチックの存在意義

プラスチックが大量に使用される理由は、その軽さ、耐久性、加工のしやすさ、そしてコストパフォーマンスにあります。これらの特性は、特に輸送や梱包、医療、食品保存の分野で非常に大きな利点となっています。


1. 軽さとエネルギー消費の削減

プラスチック使用によるメリット①

たとえば、プラスチックは非常に軽量であるため、金属やガラスの代替として使用されるケースが多くあります。自動車や航空機の部品にプラスチックが使われることで、車両や航空機の総重量が軽減され、燃費効率が向上します。これは結果として二酸化炭素(CO2)排出量の削減につながります。実際、燃料効率を上げるためにプラスチックを使うことが、自動車産業では当たり前になっています。

例えば、車の重量を100kg軽減することで、年間約0.3トンのCO2削減が可能だと言われています。軽量なプラスチック部品が鉄やアルミニウムの部品に置き換わることで、エネルギー消費を減らすことができるのです。鉄やガラスなど、代替材料の生産時にはより多くのエネルギーが消費されるため、プラスチックを使うことで全体の環境負荷を軽減できるケースが多々あります。


2. 食品ロスの削減

プラスチック利用によるメリット②

また、プラスチックの使用は食品ロスの削減にも寄与しています。真空パックや密封容器は、食材の酸化や腐敗を防ぎ、保存期間を延ばす役割を果たします。ガラスや紙の容器に比べて、プラスチックは軽く、破損のリスクも少ないため、輸送中のロスも減少します。

具体的な例を挙げると、プラスチックフィルムで包装されたキュウリは、何も包装されていない場合に比べて鮮度を3倍近く保つことができると言われています。これは輸送中や販売時における廃棄物の削減に大きく貢献し、結果として食糧生産の資源効率を高めます。食品ロスは深刻な環境問題の一つであり、プラスチックの適切な使用は、この問題の解決に寄与するのです。


3. 医療分野における衛生と安全性

プラスチック利用によるメリット③

さらに、プラスチックは医療分野においても不可欠な素材です。使い捨ての医療用品、例えば注射器や手術用手袋、点滴バッグなどは、感染リスクを低減し、衛生状態を保つために非常に重要です。これらの製品は一度使ったら廃棄されるため、衛生的でありながらも、感染症の拡大を防ぐ役割を果たしています。

一方で、これらの製品をガラスや金属で代替することは、コスト面でも実現可能性が低く、さらにエネルギー消費量や廃棄物管理の問題を引き起こす可能性があります。プラスチックはこのように、命を守るために欠かせない存在でもあるのです。


脱プラスチックがもたらす課題

「脱プラスチック」の動きは一見、環境に良いことばかりのように見えますが、いくつかの課題も抱えています。


1. 代替素材の環境負荷


紙ストロー

脱プラスチックの動きで注目されている代替素材には、紙、バイオプラスチック、ガラス、金属などがあります。しかし、これらの素材が必ずしもプラスチックよりも環境に優しいとは限りません。

例えば、紙袋はプラスチック袋に比べて製造時のエネルギー消費が多く、また製造過程で大量の水を使用します。さらに、重量があるため、輸送時により多くのエネルギーを必要とし、結果的に二酸化炭素の排出量が増加します。バイオプラスチックも、原材料が再生可能な資源であるものの、分解には特殊な条件が必要で、適切に処理されなければ従来のプラスチックと同じく環境汚染のリスクがあります。

また、ガラスや金属はリサイクル可能ですが、その製造には非常に多くのエネルギーが必要です。特に、ガラス製品はプラスチック製品に比べて重いため、輸送にかかるエネルギーが増加します。これにより、全体的なCO2排出量がプラスチックよりも多くなる場合があります。


2. 廃棄物管理とリサイクル

プラスチックのリサイクルをよくするには

もう一つの問題は、廃棄物の管理です。プラスチックのリサイクルが進んでいないことが、現在の大きな問題となっています。脱プラスチックの一環として、多くの国や企業がプラスチックの使用を削減していますが、現実にはプラスチックが適切にリサイクルされていないことが根本的な問題です。

プラスチックのリサイクルが適切に行われれば、その環境負荷は大幅に軽減されるはずです。しかし、プラスチックの種類が多岐にわたるため、分別や処理が難しく、結果的に多くのプラスチックが埋め立てられたり、海洋に流出したりしています。

この課題を解決するためには、より効率的なリサイクルシステムの整備や、分別の徹底が必要です。さらに、プラスチックの再生利用を促進するために、デザインや製造の段階からリサイクルを念頭に置いた設計が重要です。


持続可能な未来のために:プラスチックの適切な利用を

プラスチックを無条件に「悪」とするのではなく、適切に使うことが重要です。環境への配慮はもちろん必要ですが、プラスチックの持つ利点を最大限に活用しながら、リサイクルシステムの改善や代替素材の慎重な選定が求められます。

現在、いくつかの技術革新が進行中であり、バイオベースのプラスチックや、完全に分解可能な新素材の開発も進んでいます。これらの技術が今後の環境負荷軽減に貢献することが期待されています。

脱プラスチック運動は、環境保護の一環として非常に重要ですが、その実行にはバランスが必要です。プラスチックを過剰に悪者にするのではなく、科学的な根拠に基づいた適切な利用と廃棄物管理の改善を進めることが、持続可能な未来を築く鍵となるでしょう。

私たち一人ひとりが、生活の中でどのようにプラスチックを使うか、または使わないかを考えることが、今後の地球環境を守る大きな一歩となるのです。

結論として、プラスチックは「悪」ではなく、使い方次第でその存在価値は大きく変わるといえます。

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