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メカトロ技術:パーツフィーダーを使用しない部品整列

更新日:7月1日

はじめに

パーツフィーダの画像

組立工程において小型部品の整列は、作業効率や品質に直結する重要な要素です。従来はパーツフィーダーを用いて部品を整列・供給してきましたが、その導入コストは1台あたり60万〜200万円と高額であり、小ロット品や試作段階では導入が難しいケースも多く存在します。こうした背景の中、弊社 富山工場では「パーツフィーダーを使用しない部品整列」に挑戦し、コストを抑えつつ高効率な整列装置の自作に成功しました。本記事では、その具体的な取り組み内容と成果について詳しく紹介します。


課題の背景

今回改善の対象となったのは、スマートメーターの組立ラインやインサート成形品の組み立て工程です。従来の手作業では、以下のような課題が存在していました。

改善前の作業中の問題点
  • 小さなネジやナットの方向を揃えて治具に挿入する必要があり、作業者の手間がかかる

  • 向きを誤って入れた場合は治具を外してやり直す必要があり、作業時間にバラツキが発生

  • パーツフィーダーを導入するには高コストで、ライン全体の自動化にも制約が生じる

これらの課題を解決するため、現場では「安価かつ工程に組み込みやすい小型整列装置」を自作する方針を立てました。


整列装置の開発プロセス

整列装置の開発においては、以下のような具体的な工夫とプロセスが展開されました。


①コンセプトと目標値

  • コンセプト:ネック工程の改善による生産性向上、工程内に設置可能な小型装置の製作

  • 目標値:サイクルタイムを6秒短縮、装置製作費を50万円以内に抑える


②装置設計の工夫

  • 振動機構を使用しない:重力搬送によりコストを削減

  • 両手作業対応:レールを2本設置し、作業者が両手で同時にネジを取れる設計に

  • ブロー機構の改善:エアーブローの方向を正面に変更することで詰まりへの対処を実現

  • 整列用BOXの改良:ネジの引っ掛かりを防ぐため、底面の角度をレールと一致させる

これにより、従来のパーツフィーダーと同様の整列機能を実現しつつ、コストとスペースを大幅に削減することに成功しました。


実施例と成果

三光合成オリジナルの整列機械

金具供給装置

インサート成形に使用されるM4・M5ナットの供給にも同様の整列装置を適用。成形サイクル50秒に対応するだけの簡易供給能力で十分と判断され、自作装置で対応可能とされました。

効果

  • パーツフィーダー(100万円×2台)に対し、自作装置は20万円×2台+追加部品10万円=50万円

  • 装置製作費を150万円削減


問題点と対策

開発過程ではいくつかの問題も発生しましたが、現場の工夫により解決されています。

問題点

対策

ネジが整列レールで詰まる

エアーブローの向きを正面に変更

ネジが多すぎて飛ばない

整列レールにガイドを設置し、量を一定に

ネジの角が引っ掛かる

BOXの底面角度をレールに合わせて滑らかに

後ろのネジが落下する

後方にカバーを設け、持ち上がらないように制御

さらに、ホッパーへの供給量が多すぎると詰まる課題についても、今後は「定量供給シリンダ」を導入して自動化を図る計画です。


自動化との融合と展望

開発された整列装置は、自動機の構成要素としても活用されており、スマートメーター製造ラインでは以下のような流れで整列と搬送が統合されています。

  1. 整列供給:ナットやネジを重力式で整列

  2. 搬送:縦向き整列を活かし、シンプルな構造で搬送

  3. 挿入機構:挿入チャックが金型まで搬送し、正確に配置

この方式により、パーツフィーダーが不要となり、自動機のトータルコストも大きく抑えられています。

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