樹脂におけるバリア性(Barrier Property)とは
- SANKO GOSEI
- 6月9日
- 読了時間: 2分
樹脂における**バリア性(Barrier Property)**とは、
気体や液体、水分などが樹脂を通り抜けにくい性質
のことです。
食品包装や自動車部品、医療容器などでは非常に重要な特性です。

バリア性のイメージ
例えばペットボトルを考えてみましょう。
酸素が外から入る
炭酸ガスが外へ逃げる
水分が蒸発する
このような現象が起きると品質が低下します。
そこで、
酸素を通しにくい
炭酸ガスを通しにくい
水蒸気を通しにくい
樹脂が求められます。
これを「バリア性が高い」と表現します。
主なバリア対象
対象物 | 用途例 |
酸素(O₂) | 食品の酸化防止 |
水蒸気(H₂O) | 乾燥食品の品質保持 |
炭酸ガス(CO₂) | 炭酸飲料 |
燃料蒸気 | 自動車燃料タンク |
香気成分 | コーヒー・お茶・香水 |
なぜ樹脂によって違うのか
樹脂内部には分子鎖の隙間(自由体積)があります。
バリア性が高い樹脂
分子鎖が密に並ぶ
結晶化度が高い
分子間力が強い
↓
結果、気体が通りにくい
バリア性が低い樹脂
分子鎖の隙間が大きい
ゴムのように柔らかい
↓
結果、気体が通りやすい
樹脂別のバリア性能
一般的な酸素バリア性の目安です。
樹脂 | バリア性 |
PE(ポリエチレン) | 低い |
PP(ポリプロピレン) | 低い |
PS(ポリスチレン) | 低い |
PET | 中程度 |
PA(ナイロン) | 高い |
EVOH | 非常に高い |
PVDC | 非常に高い |
食品包装では
PE
PP
だけではバリア性が不足するため、
EVOH
PA
を積層することがよくあります。
自動車部品でのバリア性
自動車業界では燃料蒸発規制が厳しいため、
燃料タンクには
HDPE
EVOH
の多層構造が多く使われます。
断面イメージ
HDPE ↓接着層 ↓EVOH ↓接着層 ↓HDPEEVOH層が燃料蒸気を遮断します。
射出成形品で問題になるケース
例えば、
ECUケース
センサーケース
LEDランプ
などでは、
内部への水分侵入によって故障することがあります。
このため、
材料選定
肉厚設定
ガスケット設計
によって必要なバリア性能を確保します。
成形技術者向けに簡単に言うと
バリア性とは「樹脂が気体や液体をどれだけ通しにくいか」を表す性能です。
特に射出成形では、
酸素バリア
水蒸気バリア
燃料バリア
が重要で、
一般的なPPやPEはバリア性が低く、EVOHやナイロンは高いという特徴があります。
また、バリア性は材料だけでなく、
結晶化度
配向状態
肉厚
温度
湿度
によっても変化します。特にPAやEVOHは吸湿するとバリア性能が低下するため、材料選定時には注意が必要です。






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