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樹脂におけるバリア性(Barrier Property)とは

樹脂における**バリア性(Barrier Property)**とは、

気体や液体、水分などが樹脂を通り抜けにくい性質

のことです。

食品包装や自動車部品、医療容器などでは非常に重要な特性です。

ペットボトルに求められるバリア性

バリア性のイメージ

例えばペットボトルを考えてみましょう。

  • 酸素が外から入る

  • 炭酸ガスが外へ逃げる

  • 水分が蒸発する

このような現象が起きると品質が低下します。

そこで、

  • 酸素を通しにくい

  • 炭酸ガスを通しにくい

  • 水蒸気を通しにくい

樹脂が求められます。

これを「バリア性が高い」と表現します。


主なバリア対象

対象物

用途例

酸素(O₂)

食品の酸化防止

水蒸気(H₂O)

乾燥食品の品質保持

炭酸ガス(CO₂)

炭酸飲料

燃料蒸気

自動車燃料タンク

香気成分

コーヒー・お茶・香水


なぜ樹脂によって違うのか

樹脂内部には分子鎖の隙間(自由体積)があります。

バリア性が高い樹脂

  • 分子鎖が密に並ぶ

  • 結晶化度が高い

  • 分子間力が強い

結果、気体が通りにくい


バリア性が低い樹脂

  • 分子鎖の隙間が大きい

  • ゴムのように柔らかい

結果、気体が通りやすい


樹脂別のバリア性能

一般的な酸素バリア性の目安です。

樹脂

バリア性

PE(ポリエチレン)

低い

PP(ポリプロピレン)

低い

PS(ポリスチレン)

低い

PET

中程度

PA(ナイロン)

高い

EVOH

非常に高い

PVDC

非常に高い

食品包装では

  • PE

  • PP

だけではバリア性が不足するため、

  • EVOH

  • PA

を積層することがよくあります。


自動車部品でのバリア性

自動車業界では燃料蒸発規制が厳しいため、

燃料タンクには

  • HDPE

  • EVOH

の多層構造が多く使われます。

断面イメージ

HDPE ↓接着層 ↓EVOH ↓接着層 ↓HDPE

EVOH層が燃料蒸気を遮断します。

射出成形品で問題になるケース

例えば、

  • ECUケース

  • センサーケース

  • LEDランプ

などでは、

内部への水分侵入によって故障することがあります。

このため、

  • 材料選定

  • 肉厚設定

  • ガスケット設計

によって必要なバリア性能を確保します。


成形技術者向けに簡単に言うと

バリア性とは「樹脂が気体や液体をどれだけ通しにくいか」を表す性能です。

特に射出成形では、

  • 酸素バリア

  • 水蒸気バリア

  • 燃料バリア

が重要で、

一般的なPPやPEはバリア性が低く、EVOHやナイロンは高いという特徴があります。

また、バリア性は材料だけでなく、

  • 結晶化度

  • 配向状態

  • 肉厚

  • 温度

  • 湿度

によっても変化します。特にPAやEVOHは吸湿するとバリア性能が低下するため、材料選定時には注意が必要です。

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