射出成形機を実際に操作し成形品を作り出す成形技能では、操作の手順とか条件設定の仕方が中心となるが、最も大切なことは射出成形機の概要と成形のメカニズムを知ることである
手順はわかっているが「何故このようにしなければならないのか」を理解していない成形は
「何となくできた成形」であり、「最もよい条件の成形」とは言えない。
成形とは図1に示すように温度、圧力、速度、位置、時間の要因の結果である。
図1 成形の要因
成形のメカニズムを知るために先ず以下のことを理解しておく必要がある。
①閉じ込められた金型内に溶融されたプラスチックが非常に大きな圧力で射出される。
金型内には空気が閉じ込められており、溶融材料は流入圧力で型合わせ面のわずかな
隙間から空気を排除しなければならず、流入時の流動損失も大きいので、大きな圧力を
必要とする。この圧力の単位は国際単位系(SI)ではkgf/cm2またはパスカル(Pa)
またはバール(bar)で表され、1kgf/cm2は9.80665×10^4 Paである。換算するときは
この値を106で割ったメガパスカル(MPa)の方が便利である。
1kgf/cm2は0.09806MPaとなる。また、1バール(bar)は1.0197kgf/cm2である。
型締力はトン(ton)またはキロニュートン(kN)で表示される。これも成形品の大きさの割合
には大きいが、大きな射出圧力を受ける金型を締めるためのものである。
1トンは9.80665kNで型締力は射出成形機を表す代表的数値である。
②型締の金型開閉ストロークとスクリューの射出、可塑化ストロークは設定された
プログラムによって制御され、位置によって微妙に圧力と速度が調節された自動運転
である。成形は型閉じに始まり、型開き成形品取出しで終わるサイクルを単位として
進行する。1サイクル終了ごとにスタートボタンを押す半自動運転。サイクルを自動的に
継続するのが全自動運転である。
③射出成形機を正しく操作するための条件設定は、必ず根拠を持った設定をすること及び
各条件の不良品発生上下限をわきまえ、余裕のある成形をするように心がけることが必要
である
射出成形サイクルにおける各工程と射出成形機の動作について図2に表示する
図2 射出成形機の標準動作
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