三光合成株式会社は、物理発泡成形において高性能かつ低コストな製造技術を確立しました。その中心となるのが「SG-FOAM」と「SG-GCP」装置の開発です。この技術は、既存の高価なミューセル装置に代わる画期的なソリューションとして、自動車部品や軽量製品の生産に貢献しています。この記事では、低コスト物理発泡成形の概要、開発の経緯、装置の特徴、成果について詳しく解説します。
物理発泡成形とは?
物理発泡成形は、樹脂に窒素(N₂)や二酸化炭素(CO₂)などの気体を注入し、樹脂の体積を膨張させることで製品を成形する技術です。以下のメリットがあります。
軽量化:製品の重量が減り、燃費向上やCO₂排出削減に貢献。
コスト削減:樹脂使用量を削減し、資源効率を向上。
高強度化:内部構造が緻密になり、製品の剛性が向上。
しかし、高外観を有する物理発泡成形を実現するには溶融樹脂中にガスを注入し、発泡させるミューセル装置と金型内を高圧にさせmm表層の発泡を抑えるガスカウンター装置の2つの設備が必要で、3000万円以上とコスト増加が課題でした。
SG-FOAMとSG-GCPの開発経緯
課題認識
三光合成では、以下の課題を解決すべく独自技術の開発をスタートしました。
高設備コスト:市販のミューセル装置は2,100万円、ガスカウンタープレッシャー装置は1,000万円と高額。
ガス供給の効率化:工場用エアーが不要で、より安価なガス供給方法の確立が求められていました。
装置開発のプロセス
1. SG-FOAM(物理発泡装置)
窒素ガスを圧力制御方式で樹脂に注入。
従来のミューセル装置に比べ、約1/117のコスト(18万円)で開発。
開発のポイント
従来の低圧法ではガス注入量が不明であったため、ガス流量計を装着し、流量からガス注入量に換算した。
1. SG-GCP(ガスカウンタープレッシャー装置)
金型内を高圧に保ち、樹脂表面の発泡を抑制。
市販品の約1/56のコスト(17.9万円)で実現。
開発のポイント
一般のコンプレッサーではガスの最大圧力、供給能力が不足しているので、大工用のコンプレッサーを2つ連結させて使用することで装置費用を抑えつつ目的のガス圧と供給能力を確保した。
成果と効果
1. 低コスト化の達成
ミューセル装置やガスカウンター装置に比べ、設備投資額を90%以上削減。
合計35.9万円でシステムを構築し、市場製品より圧倒的に安価な成形ラインを実現。
2. 生産効率の向上
成形サイクルの短縮により、生産量が増加。
成形可能なショット数も向上し、ランニングコストが削減されました。
3. 製品品質の向上
軽量化と高強度化を両立。
表面品質が向上し、外観性の高い製品が安定して供給可能。
応用分野と今後の展望
三光合成では、SG-FOAMとSG-GCPを自動車部品、家電製品、建材など幅広い分野に展開しています。特に軽量化が求められる製品での適用が期待されています。
今後の課題と展望
量産対応機の開発:さらなる自動化・高速化を目指します。
適用範囲の拡大:大型部品や特殊形状部品への適用。
海外市場への展開:競争力のある価格設定を武器にグローバル展開を計画。
まとめ
三光合成の低コスト物理発泡成形技術は、製造コストの大幅な削減と環境負荷の軽減を両立させる革新的な技術です。今後、さらなる技術革新を続けることで、世界市場においても競争力を発揮することが期待されます。
製品開発や導入に関するご質問は、ぜひお気軽にお問い合わせください。専門スタッフが最適なソリューションをご提案いたします。
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